理想の男の生き様を描いた傑作 重松清『とんび』

 

とんび (角川文庫)

とんび (角川文庫)

 

 

一昨日、重松清さんの小説「とんび」を買いました。

現在読んでる途中ですが....

 

購入のきっかけは、ドラマの方を見て涙が止まらなくなったから。

 

高校時代に日曜劇場で放送されたことがあって、内野聖陽さんが主人公の「ヤス」佐藤健さんがヤスの一人息子の「アキラ」を演じてました。

あの頃は、内野さんの演技を見て、「暑苦しいおっさんだな」とチャンネルを変えて

しまいましたが大人になってから見てみると内野さんが演じる「ヤスさん」の人柄が

かっこよくて...かっこよくて...

 

ヤスさんは、広島の運送業者で働く不器用な頑固者。

息子のアキラが幼い頃に仕事場の事故で妻の美佐子を亡くし、男手ひとつでアキラを懸命に育てていくわけなんですが、

 

ヤスさんは、不器用だから中々自分の本当の気持ち、本当に言いたい事が

中々口に出せないんです。

行動も自分の想いとは裏腹になってしまう。

それで、周りからいつも誤解されてしまう。

あとあと一人で、寂しいような、「なんでいっつも俺はこうなんだ!」っていうヤスの表情がもう、人間臭いというか、すごい温かさがあるんですね。

内野さんの演技力には、本当に感銘をうけますが、

 

でも、いくら周りから誤解されても息子のアキラには届いている。

父親の言いたい事、本当の気持ちが分かっている。

 

「親子だから分かることがある」

 

そんな二人の姿に毎回毎回、温かさで視聴者も読者もいっぱいにさせられて、号泣の

嵐ですよ!

あんまり泣かせんじゃねーよ、よそでやってくれよ! ってなりますよ(笑)

 

「不器用」って、なんか良くないイメージで持たれやすいじゃないですか。

損した気分になったり、直した方がいいのかなぁ...ってね。

でも、ヤスさんの姿をみて初めて

「あっ、不器用ってこんなにもかっこよくて素敵ななんだ。」

不器用って悪くないし、直さなくてもいいんだ、って思えてきます。

 

特に一番感動できる箇所、僕のココイチは、アキラが東京の雑誌の編集社の

入社試験で書いた作文を、ヤスが読ませて貰えるときがあるんですね。

アキラの書いた作文

 

「嘘と真実」

 

この内容が一番泣けます。ヤスさんと一緒にアキラの作文を読みたい人は

小説:重松清「とんび」をぜひ手にとってみてください。